780 :[sage] 投稿日:2009/02/20(金) 23:21:39 ID:/aXdHWwu0 [30/32回(PC)]
真面目で一生懸命やる。これは非常に良いことだと思う。 
 
何事にも真剣に取り組み熱くなれるって言うのも長所になりうる点なんだろうが…。 
どうにも俺はこの大田と言う男が嫌いだ。何と言えば良いのか水と油…決して相容れる事の無いタイプ。 
生理的にダメなんだ。新人として組織にやって来たこの大田。 
 
こいつのおかげで何ともやり難い感じになってしまった。俺やリーより2個年上のこの男…。 
何と言うか自分の価値観をこちらに押し付ける様な節がある。努力する事の強要…。 
まず自己紹介の挨拶が気持ち悪かった。何故かテンパリ一生懸命なのだ…挨拶位普通にすりゃいいのに 
声がデカイ、シドロモドロ。師匠が俺にしばらく面倒見てやれと言うが断った。 
 
確実に殴ってしまうので…と。リーも嫌だと断る、気持ち悪いから。何だろう…ダメだ。 
まぁ結局、師匠と蛭田さんで面倒を見る事になったんだが出来るだけ関わりたく無かった。 
帰り道行きつけのバーでリーと美沙さんの3人で飲んでいると大田の話題になった。 
 
「何で新人君をそんなに嫌がるかね?」美沙さんは俺たち二人に聞いてきたが返事に困った。 
タバコに火を付けて誤魔化したが美沙さんの目線は反れない…。リーが言う「あいつ気持ち悪い」 
何でそんな事言うのと美沙さんはご立腹だ。「まだ初日で慣れて無いだけでしょ?」激怒された 
「いや…そう言う訳じゃ無くて…なんつーか暑苦しいタイプって言うの?ほらあれだよ美沙も前に 
松岡修三が出てる番組見て言ってたじゃないアレだよアレ」と必死に弁解するリー。 
 
松岡修三…あまりに的確な例えに噴出してしまった。「そんな事無いでしょ?これから先パーティーを 
組む可能性だって出てくるんだからコミュニケーションは取らなくちゃ」と美沙さん。 
 
軽く天然の所がある女性だったので気にならないのかと思ったがリーと付き合ってる事を考えると 
母性本能が強いタイプの女性なのかも知れない。「ちゃんと面倒見てあげるのよ!?」と念を押され 
俺とリーは気持ちの入っていない返事をした。


781 : [sage] 投稿日:2009/02/20(金) 23:22:34 ID:/aXdHWwu0 [31/32回(PC)]
翌日俺は寝坊した。「スンマセン寝過ごしましたと」事務所に入るとリーがホウキを持って 
掃除をして居る…。組織に入ってから初めて見る光景…「何やってんだ?」と声を掛ける。 
 
リーの顔は完全に怒っていた。声を掛けた俺に顎で大田を指す。 
 
俺を見つけた大田が「アキラ君遅刻じゃ無いですか?ダメですよ」俺はこの時点で殴ってやろうかと 
思ったが…「あぁ…すいません」と流して自分の席に荷物を置いた。遅刻をしたのは俺だし…まぁ 
仕方ないかとデスクの上の灰皿を探したが灰皿が無い。ありゃ?と思い探すと大田が目の前に来た。 
 
「今日から事務所は禁煙です。」はぁ?急に何だ?と思ったが蛭田さんと相談して決めたとの事。 
これからは掃除当番を決めて常にクリーンなオフィスを目指すとか、俺たちがタバコ吸ってる時間も 
給料に換算されている。タバコを吸わない人間からしたら不公平極まり無いと。 
 
師匠と蛭田さんを見るが何の変化も無い蛭田さんに比べて師匠の方はやっぱり居心地が悪そうだ。 
リーが「師匠、これはダメです!職場環境って大事だと思うんです!!」泣きついた。 
蛭田さんの手前か「まぁ…なんだ職場が綺麗な分にはなぁ…最近は禁煙も叫ばれとるし」と 
珍しく歯切れの悪い反応。まぁ決まったなら仕方ないかと諦めたがリーは納得がいかない様子。 
 
美沙さんがなだめてはいたがやはり子供だ。俺も大田のやり方にはカチンときたがゴチャゴチャ 
揉めるのも面倒だし。タバコは資料室で吸えばいいし、掃除当番は遅刻して回避する事にした。 
「その内〆てやるぅぅぅぅ」と隣の席でリーがブツブツ言う。しかし大田は気持ち悪い。 
 
俺とリーは地下の資料室で過ごす事が多くなっていた。何故か師匠も居る。 
 
やっぱりオフィスは居心地が悪いらしい。リーが何処からかテレビまで持ち込んだ。 
リーは大田に対して完全無視を決め込むつもりでいるらしい。出来るだけ会わないように警戒していた。 



782 : [sage] 投稿日:2009/02/20(金) 23:24:55 ID:/aXdHWwu0 [32/32回(PC)]
俺も話掛けられるまでは自分から話しかける事は無い。研修中の大田の面倒を見ている師匠が言うには 
真面目なんだが…やり辛い…変に堅物な所があるので…
現場で使い物になるか…う~ん?みたいな感じだった。 
 
そんな中アモンの件となり、翌日俺とリーは有給をもらい休みになったんだが。夕方にリーからメールが来た 
内容は「大田がバックれたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」と言う内容だった。 
 
メールするのが面倒なんで電話して詳細を聞く事にした。リーが電話に出て詳細を話始めた。 
リーの話ではこうだ、朝珍しく大田が現れない、気になった師匠が電話をしてみたが連絡が付かず 
午後になってから美沙さんと蛭田さんで自宅を訪ねたが不在。まぁウチの組織では良くある話だ。 
目の前の現実を受け入れられずショックを受けてバックレ。いつものパターンかと…。 
 
だがリーの話で気になる点があった。儀式の後片付けを手伝い師匠が例の本を資料室に戻すように 
言った後から誰も姿を見て居ないと言う事。「そんで本はちゃんと戻ってんの?」俺が言うと 
電話口で「あっ!!」と言うリーの声が聞こえた。 
 
急遽本部へ行く事になった、リーを拾い急行した本部に到着するとリーからの連絡で本の有無を 
調べた連中が大騒ぎしている。大田と一緒に本も消えた。急遽緊急配備となった。 
 
普通の人間に渡っただけなら魅入られておかしくなる程度の話だが…新人とは言え大田は能力者だ。 
何か有ってからでは遅いと本部はパニクっとなっていた。師匠に言われ俺とリーは再度大田の家に 
向かう事となった。 



808 : [sage] 投稿日:2009/02/21(土) 03:10:55 ID:5qW8Ftho0 [4/31回(PC)]
大田の部屋の前についたインターフォンを鳴らすがやっぱり居ないようだ。 
管理人常駐の物件では無かったので鍵はどうすっかな?と考えているとリーがドアを蹴破った 
ドガンと言う音でドアがフレームから外れた。「さっさとガサ入れんべよ」とリーが言う。 
 
こう言う時にこいつのジャッジは非常にわかり易い。近所の目が気になったが誰一人様子を伺いに 
出てくる様子も無く。俺たちは土足のまま部屋に上がりこんだ。 
部屋は几帳面に整頓されていた、本棚には難しそうな本が並びアイウエオ順に並ぶ。 
あいつのキャラクターから容易に想像できる部屋。俺の興味をそそるような物は無かった。 
 
ベッド付近をゴソゴソして居たリーが俺を呼ぶ。「オイwwww組長wwwwwwこれwwwwwwwww」と 
この緊急時に何だと思ったが俺も爆笑した。リーが大量のアダルトDVDを発掘したのだwwwwwww 
タイトルを見てみると「高級ソープへいらっしゃい」「痴女教師個人授業」などなど知りたくも 
無かったがヤツの趣味がわかった。リーが「これは証拠物件として押収しますwwww」と紙袋に詰める。 
あいつ絶対童貞だぜwwwwwとリーが言う、良くても素人童貞だwwwwwwwwと爆笑。 
 
あいつの女性経験の件は興味も無くどうでも良かったが真面目を絵に描いたような男の 
むつっりスケベ振りには何故かイラっとしてしまった。ガサを入れた結果は何も出てこなかった。 
 
失踪したと見られている夜から自宅には戻っていないらしい。何も無いか…「おい戻るぞ」と 
リーに声をかけたがウンコさせろと大田の部屋に嫌がらせをするつもりらしい…やはりバカだ。 
俺は玄関でタバコを吸って待っていた。リーがトイレから出てきたが流す音は聞こえなかった。 
 
本部に戻る道中「wwwwwwwwwwこれ美沙にも報告だなwwwwwwwww」とリーはご満悦だ。 
本部に戻るまでずっとDVDのタイトルを読み上げていた。横でうるさいリーを放置したまま 
俺は本の行方が気になっていた。



809 : [sage] 投稿日:2009/02/21(土) 03:11:17 ID:5qW8Ftho0 [5/31回(PC)]
本部に戻ると総動員で大田の行方を捜している。俺たちを見つけた師匠が収穫は?と聞く 
リーが得意げに「証拠物件押収してまいりました上官殿w」と紙袋の中身を見せる 
「この緊急時に何を遊んでんだバカ野郎!!!」と大目玉をくらっていた。強烈なゲンコツをもらい 
リーは涙目だwww。だから言わんこっちゃ無いと思った。「姿をくらます夜から自宅には戻って 
居ないようです。」俺は収穫が無かった事を報告すると「そうか…」と肩を落とす。 
 
師匠は責任を感じているようだった。蛭田さんの話では儀式を行った事で本の力が覚醒してしまった 
のでは無いか?との事だったので不可抗力だ。こんな仕事をしてる以上、ある程度は自分の身は 
自分で守るしかない。本の能力に負けてしまった大田の方に問題があると思うってのが 
俺の意見だったが師匠は人情味厚い人だったので責任を感じてしまったんだろう。 
 
ある筋を通して警察にも指名手配がかけられたようだ。検問をはり特別緊急配備が取られたと聞いた。 
俺は過去に指名手配された経験があるので都内を出て居ないなら何かしら編みに引っかかるんじゃ 
無いかと思った。行き先に心当たりが無いので捜索のしようが無い。 
 
時計が0時を回った頃その日の捜索は一旦打ち切られる事になったが師匠は本の波長を探してみると 
ラボに入り瞑想をすると準備を始めた。俺たちは師匠の手伝いが出来る訳じゃ無かったが一応念の為 
本部に泊り込む事にした。コンビニで食料とビールを買い込んで資料室に入った。 
 
美沙さんも残ると言う事でリーは楽しみにしていたDVD鑑賞会が出来ないと機嫌が悪い。 
ソファーは美沙さんに譲り、俺とリーは寝袋で寝る事にした。 



811 : [sage] 投稿日:2009/02/21(土) 03:50:51 ID:5qW8Ftho0 [6/31回(PC)]
翌日…初夏とは言え汗ばむ陽気…昼間から捜索に出る気にはならなかった。 
 
オフィスにリーの姿が無い電話で呼び出してみると屋上に居ると言うので向かう。 
サマーベッドで日焼けの真っ最中だ。このバカは何してんだ?とベッドに蹴りを入れてやる。 
「もぉいいよぉ~大田探すの面倒だよぉ~。夏を楽しまず大田なんか探してらんねぇよぉ~」と 
泣き言を言い出す始末だ。自業自得で師匠に怒られたのが気に入らないらしい。 
 
ふて腐れて日焼けをしてたと言う訳だ。さっさと服着て降りて来いと促すがブーブー言って 
言う事を聞かない。すると美沙さんが息を切らして屋上へ上がってきた。相当ダッシュしたのか 
息が絶え絶えだ「おお…太田君…見つかったって…」肩を上下に揺らした。 
ダッシュで階段を下りた。リーは上半身裸のままでダッシュ。 
 
オフィスでは師匠が疲れた表情で腕組みをしている。大田は警察に保護されていると言う事だった 
蛭田さんが払い下げに向かっていると言う事だ。「インキュバス」これが大田の失踪の原因らしい。 
 
本を手に取り魅せられてしまった大田は失踪後風俗店で本番を強要。止めに入った従業員を殴り 
警察のご厄介になっていたんだが…インキュバスに憑かれた状態の大田をキチガイだと判断した 
警察は警察病院へ搬送。すぐに身元が割れなかったせいもあり発見が遅れたと言う訳だった。 
リーが小声で「あいつ相当溜まってたんだなwwww」と師匠に隠れて笑う。 
 
師匠が言うには新人の大田に配慮せず危険な本の処理を任せた責任もあるから…この先の進退は 
あいつの判断に任せると言う事だった。残る事になったとしてもお前ら優しく迎えてやれよ 
あいつも隙を付かれて取り込まれる要素は有ったとしても…下の話だしなぁ…と 
こればっかりはどうしてやる事もできないし…と師匠は言葉を濁らせる。 
 
進退は移動の可能性も含めて話をすると言う事だ。



812 : [sage] 投稿日:2009/02/21(土) 03:54:22 ID:5qW8Ftho0 [7/31回(PC)]
蛭田さんに連れられて戻って来た大田は俺たちにも目も合わせず奥の会議室へと向かう。 
師匠と蛭田さんとの面談でも有るのだろう。失敗は誰にでもあるし…新人が起こした事件。 
 
上としては寛容な受け入れ態勢ではあったが…事の内容だけに大田のプライドがどうするかだな?と 
俺は傍観する事に決めた。リーも笑ってはいたが何だか可哀想になったのか「何処か他の組織でも 
紹介してやりゃいいじゃんよ、女子の多い所wwwwwwww」と本気とも冗談とも付かない発言だ。 
 
移動が一番いいかもなと俺も思った。俺たちが水と油で合わないだけであって 
組織としては必要な人材なんだろうし他で有効活用してやればいいんじゃねぇか?と 
ウチが異常に緩いだけであってもっとお堅い所もあるんだろうしDVD押収するような先輩が居ない 
所であれば大田も上手くやれるんじゃねぇかな?と思った。 
 
1時間もしない内に面談は終わり大田が蛭田さんと師匠に連れられて出て来た。 
新たな場所で出直すと言う事だった。師匠のつてで他の組織に移動。一番良い形で収まったなと 
大嫌いだった大田の事で何故か安心した。さすが師匠だなと。 
 
「短い間でしたがお世話になりました」と大田が頭を下げる。そしてオフィスを出て行こうとする 
大田が振り返りドアノブに手をかけた時にリーが声をかけた「太田君忘れ物」 
DVDの詰まった紙袋だ。中身を確認した大田が差し上げますと言い…さらに暗い表情になった。 
リーよ…お前夜道に後ろから刺されても知らねぇぞ…と誰もが思っただろう…。 
 
これから自宅に戻ったらドアが破壊されリーのウンコが流れて居ない状態で待っている… 
この暑い季節だ…どんな悲惨な状況かは容易に想像できた。自殺したらリーのせいだなと。 
その日、本の方も封印される事になった。俺たち下っ端では入る事を許されない保管庫に 
師匠が封印の儀式をして収められる事になった。 
 
アモンの一件からずっと騒ぎが起きていたので何だかみんな一気に力が抜けた印象的な事件だった。