640 : 金土日 ◆B/2ch/ss26 [sage] 投稿日:04/08/16 23:06 ID:m17mKrjq [1/2回]
学生時代の話。 
期待に胸を膨らませて地方の駅弁大学へ入学した。 
周囲は知らない人ばかり。そんな中でひょんなところで最初に知り合ったのがシンジだった。 
シンジとは結構馬が合って、授業が終わっても一緒に遊んだりしていた。 
とはいってもあまり恵まれた環境ではなかったみたいで、 
服はチェックのシャツを数枚持っているだけで、夏も袖をまくって着ていた。 
ただ、汚らしいイメージはなくて、男性にしては珍しくアイロンがけとかしていて 
それなりに清潔な身だしなみだった。 

シンジの下宿にも何回か遊びに行った。 
古ぼけた下宿の4号室。半畳の土間の横は作りつけの箪笥。 
部屋は4畳で狭かったが、いつも几帳面に片付けていた。 
「俺ってあんまり恵まれてないからさ、狭い下宿でゴメンね」と 
すまなそうな顔を彼がするたびに気まずい気持ちになっていた。 

3年の終わりから暫く個人的な問題で気が滅入っていて、 
正常な思考が出来なくなっていたが、なんとか4年に進級して、 
学校にも通うことが出来た。 
何故かシンジは来ていない。4年になって殆ど単位を取得したのかな、と 
思いながらシンジの消息を聞いた。


641 : 金土日 ◆B/2ch/ss26 [sage] 投稿日:04/08/16 23:08 ID:m17mKrjq [2/2回]


「シンジって誰だよ?」全員の返事だった。 
「ちょ、ちょっと待てよ。ほら、一緒にシンジの部屋へ行ったときに 
狭い下宿でゴメンねってすまさそうな顔を…」といいかけたとき、 
俺は気づいたのだ。 
記憶の糸が少しずつ解れて行く。おかしい。奇妙なことが多すぎる。 
「すまなそうな顔をした」シンジの顔が思いつかない。苗字も知らない。 
あいつの学籍番号さえ知らない。 
何故だ?何故だ?だってあいつの下宿は… 
考えてみればおかしいことばかりだ。 
あいつの部屋ってそういえば3号室のドアと5号室のドアに挟まれてたぞ。 
普通、部屋があるからスペースがあるじゃないか。 
あいつの部屋、4畳のはずだったけど、正方形だったよな。 
4号室、4畳、下宿の住所「○○944番地」、いなくなったのが 
4年の4月…執拗に重なる「4=死」のイメージ… 
あいつの名前、シンジ…シンジ…信士?戒名??? 
俺は全てがわからなくなって叫んでしまった。 

暫くわけがわからず授業にも出ずにすごしていた。 
あれは俺の思考回路がおかしくなったときに 
バグとして挿入された偽記憶だったんだろうか。 
彼がいた(と思っている)下宿にも行ってみたが、 
3号室の隣は5号室だった。 
窓を開けて一緒に見た景色も、隣も下宿の壁でありえないものだった。