392 : 橘[sage] : 投稿日:2003/10/19 01:04:00
昔、猟師を生業とする男がいた。いつものように、山に猟に出た。 
山に入って獲物を探す男の前をふと1匹のアブがよぎった。 
なんとなくアブに目をやった男は、そのアブが1匹の蛙に喰われるのを見た。 
更にそこへ木の上から大きな蛇が落ちてきて、その蛙を丸飲みした。 
あまりの出来事に驚いている男の前に、なんと大きなイノシシが現れ、 
その蛇に襲いかかり、あっという間に食い尽くしてしまった。 

呆然としていた男は、ふと我に返り、「ここで、このイノシシを逃したら猟師の名が廃る」 
とばかりに、イノシシにねらいを定めた。 
引き金を引こうとしたまさにその時、ふと男は思った。 
「アブは蛇に喰われ、その蛇はイノシシに喰われた。もし俺がここで、こいつを撃てば、 
俺はいったいどうなるのだろう」 
恐ろしくなった男は、イノシシを撃つのをやめた。 
すると背後から山を揺るがすような大きな笑い声が聞こえた。 
そしてその声は「猟師よ、よく撃たなかったな」と…。 
恐ろしくなった男は、慌てて山を下り、その日から猟師をやめたという。 


393 : 橘[sage] : 投稿日:2003/10/19 01:21:00
もひとつ。 

山の中に近づいてはいけないと言われる淵があった。 
ある男がその淵で魚釣りをしていると、なにやら足がむずむずする。 
ふと足元を見ると、小さなクモが足の指に糸をかけ、淵の方へ戻っていった。 
男は別に気にせず、釣りを続けていたが、またも足がむずむずするので見ると、 
先ほどのより少し大きなクモが男の指に糸をかけていた。 
うっとおしいと思った男は、その糸を近くにあった切り株にかけ、釣りを続けた。 

しばらくしてふと先ほどの切り株に目をやると、その切り株に淵からやってきた 
何匹ものクモが糸をかけては、また淵へ戻っていく。 
みるみるうちに切り株は糸で覆われ、真っ白になってしまった。 
すべてのクモが淵に戻ってしまうと、淵の方から 
「それ引け、やれ引け」というかけ声が聞こえ、その切り株は男の見守る中 
ものすごい力で引っ張られ、淵に沈んでいった。 
恐ろしくなった男は釣り道具もそのままに、 
慌ててその場から逃げ去り、2度とそこへは近づかなかった。