156 : 154[] 投稿日:2009/05/04(月) 23:05:01 ID:8KAU4awl0 [2/3回(PC)]

もう一つ、 
出張の時の話でもしましょうか。 

かなり昔の話だが、ある街へ行った時の話し。 
何度か足を運んだ事のある街で、 
オレは夕方7時頃にホテルに入る事になっていた。 
国道を折れて海沿いの道を北へ走り、 
橋を渡ってしばらく走るとそのホテルに着く、 
はずだった。 

つづく 

157 : 154[] 投稿日:2009/05/04(月) 23:06:51 ID:8KAU4awl0 [3/3回(PC)]

その頃オレはその街にちょっと不慣れだったせいか、 
行っても行っても目印が見つからなかった。 
そのうちにあたりは闇に包まれた。 

街灯も無く、ライトの灯りしか頼るものが無くなった。 
その街自体が海沿いに長い都市なので、 
このまま行けば着くだろうと俺は更に車を走らせた。 
しかしかれこれ2時間近くになるが、進めど何も見えてこない。 

周りは真っ暗なまま、民家も無ければ、わき道も見当らない。 
それでも進むと、自転車に乗った中学生か、高校生か、 
白いシャツに黒いズボンの少年を前に見つけることができた。 
助手席の窓を開け、少年に道を尋ねると、 
少年は振り返る事も無く、元来た道を指差した。 
オレが礼を言うと、 
少年は一言も発することなく、闇に消えていった。 

全く逆方向へ来ていた事を知り、 
真っ暗闇の中、車を切返し、元来た道へ車を走らせた。 
30分もすると街の明かりが見え、 
その日のホテルに入ることができた。 
その時、自分はなんてひどい方向音痴なんだと思っていた。 

しかし、その後、仕事に頻繁に来るようになって気が付いた。 
その道には途中に1つの信号も、商店も、対向車すら無かった事。 
そして、2時間も走れる海沿いの一本道も、 
その道への入り口も存在しない事。 

これは事実です。 

長文で失礼した。